祈りの海

グレッグ・イーガン 「祈りの海」という短編集を読んでみたのよ^^。


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この頃、毎日のように地下鉄に乗っているから、
その間は読書タイムになっているわけ。
良いですよ。
最初の「貸金庫」という短編、これでぶっ飛びました。
今まで読んだSFの中にこんなプロットというか、
アイディアというか・・・なかったなぁ・・・。
とにかく初めての内容だったから、
衝撃的でした。
あまりにも切なく悲しい。
あまりにも酷な物語。
この一遍だけだと
テーマはアイデンティティで、SFという衣を
纏っているだけという印象があります。
「しあわせの理由」と
いう短編集も読んでみました。
宗教などもテーマにしていて、扱い方が
興味深くおもしろい。
そして、「ボーダーガード」という作品、これまたすごい。
「肉体を持たない」ことで、いったい何が起こり、
何が起こらないのか・・・・。
量子力学だのなんだのと、単語が難しくて わけわからないので、
読み進むのが時折大変でございましたが、
でも、ゆっくり読んでいくと、その背景や設定が、
非常に不思議でおもしろい。
不思議と言っても、私にとっては印象が不思議なのであって
ファンタジーの不思議さとは全然違う、やはりサイエンスフィクションで、
科学的な裏付けとしての設定があるのです。
いつか来る未来の話しかも知れず・・・
そういった想像力をかきたてられてしまうですね。
ただね、彼の作品は読めば読むほど切なく悲しい気分にもなってしまう。
短編集2冊を経て、
「とても難しい」及び「切ない」
なんだけど・・・と思いつつ、
ついに長編も読んでみました。
邦題「宇宙消失」・・・・・・・
このタイトルはかえって古めかしい感じがしてしまって、
こんなにすごいアイディアが詰まっている本とは
思えず、読もうかどうかと結構迷いました。
つまらなそうなタイトルじゃない?(笑
原題のままで良いように思えたです。
原題「Quarantine」
「検疫」「隔離」「孤立させる」
どの意味かはわからないけど、宇宙消失よりは
イメージが深くなりますわ。^^
これも難しい部分が沢山あるから、
後戻りしつつも、先がしりたくて一気に読んで
しまいました。後でまた読み直してみようとも思います。
ここしばらく本と言えばマニュアルばかりだったので、
こんなにめいっぱい想像力を刺激された本は久しぶり。
そうそう、「ボーダーガード」の中の
「肉体を持っている。」ことで、起こるさまざなことが
「持たない」ことにより、どうなるのか・・・
この一節で
ブラッドベリの「刺青の男」の中の「火の玉」を
思い出し、古い本を引っ張り出して読み返していたりもします。